今日、男のこれまでのような仕事重視の生活スタイルを改めるべきという議論が強い。平成19年12月には、政府は、ワークライフバランス憲章を設けて。本気で、ワークライフのバランスを普及させようとしている。平成20年3月から施行されている労働契約法でも、「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」という規定が設けられた。そこでいう「仕事と生活の調和」が、ワークライフのバランスの日本語表記である。
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ワークライフのバランスは多義的な概念であるがそこに特に込められているメッセージは、長時間労働の是正や休暇取得の促進などにより、正社員がもっと生活時間を確保できるようにすべきということである。政府は、国民に対して、「働きすぎは良くない」として、本気で意識改革を求めているのである。しかし、ちょっと待ってほしい。日本の経済をこれまで支えてきたのは、私たちの親の世代以上の人が猛烈に働いてきたからである。もちろん、過労による健康障害など、猛烈労働の副作用があるのは事実であるし、働きすぎることが良いこととは思えない。私たち一人ひとりが、働くということの意味について、真剣に考えていく必要がある。ただ、日本は、働くことを軽視してやっていける国ではないというリアルな認識も必要である。政府が、「働く」ことは良いけど、「働きすぎる」のは良くないというメッセージを出すことは国民にとって複雑すぎる。むしろ、若い世代には「働くこと」へのネガティブなイメージを植えつけることになるおそれさえある。私たち一人一人は、自分なりの幸福を求めてもよいはずである。憲法は、国民に幸福追求権を認める。幸福権ではなく、幸福を「追求」する権利を認めているのは、幸福の内容は、一人ひとり違ってしかるべきだからである。働くことに幸福を感じることも、個人の権利として保障されている(働き中毒(ワーカホリック)で周りに迷惑をかけるようになると、問題であるが)。政府は、そうした個人の権利に介入してはならない。男の働き方を改めるべきであるという主張は、個人的には惹かれるところがある。しかし、これが、日本にとって良い政策かどうか(さらには、憲法の理念に整合的なのかどうか)、よく考えなければならない。